★ 耳成山、三輪山を望む
畝傍山山頂から北東方向を望めば、街中にこんもりした小さな山が見える。あれが大和三山の一つ「耳成山」。さらに右方向に眼をやれば、山並みの前に浮かび上がるのが三輪山。
現在は静かな住宅街と田園風景が広がっているが、この地から日本の国造りが始まったのだと思うと感慨深いものがあります。「日本のまほろば」とも呼ばれている。
★ 葛城、金剛の山々
畝傍山山頂から東方向を望めば、右から「二上山」「葛城山」「金剛山」の山々が。
二上山は既に征服したので、この春には葛城山、金剛山を制覇したい。三輪山にも行きたいし・・・、忙しくなりそう。
というようなことを考えていると、急にあの「耳成山」に登りたくなった。それなら「香久山」にも登り「大和三山」制覇だ。当初の目的は、飛鳥寺、高松塚、石舞台など巡る予定だったが、急遽変更。耳成山を目指す。
★ 橿原考古学研究所付属博物館
畝傍山を東に向かって降りると、直ぐの所に「橿原考古学研究所付属博物館」がある。寄ってみることに。今回の飛鳥行きの目的の一つが、地図探しだった。
最近暇つぶしに読んだ「蘇我氏」関連の書籍から、古代史に興味が沸いてきた。いろいろ読んでいると、「檜前、呉原、石川、檜隅、豊浦、高市、栗隈、桃原」など古い地名が出てくる。それらの場所や、奈良盆地全体での相関位置など知りたくなった。書店、図書館で探したが、納得できるものが見つからない。それなら現地の資料館に行けば手に入るかも、と考えたのです。
この博物館には幸いなことに、古代王朝関連の多数の書籍・資料を展示・販売し、また閲覧コピーまでできるようになっている。現在まで出版されている関連書籍は全て揃っている。あまり時間が無かったので、ざっ〜と探したが、適当なものを見つけられなかった。今日は諦めた。
★ 本薬師寺跡
近鉄畝傍御陵前駅横の踏み切りを抜け、東へ進むと「本薬師寺跡」がある。田畑が広がる中に小さくこんもり膨らんだ場所が見える。標識が立っているのでこれらしい。真ん中に石柱の切り取られた跡らしきものが。
天武天皇が皇后(持統天皇)の病平癒を祈念して建てたものだが、平城京遷都のおり奈良・西の京へ移転されてしまった。現在残っているのはその礎石。平城京の薬師寺に対して「本薬師寺」と呼ぶそうです。
直ぐ横に垣根で囲われた民家らしき家がある。チラッと覗くと、庭に礎石らしきものが数個あり、「本薬師寺跡」の石碑もある。入ってみたいが、どうも民家らしくてで入れなかった。後で判ったが、民家ではなかったようで、残念です。
正面に見えるのが、さっき登った畝傍山。
★ 飛鳥川
写真上方(北、下流方向)右岸一帯が藤原京跡、下方向には甘樫丘、飛鳥寺、板蓋宮跡、石舞台古墳などが川沿いにある。
飛鳥のど真ん中を流れ、千数百年前の歴史ドラマを刻み、見つめてきた川。万葉の歌人達に愛され、詠み込まれた川。
今の景観は、和歌を一つ・・・というような詩情を感じさせるような面影は無い。
現在は、護岸工事なども行われ水量が少なく穏やかな川に見えるが、古代には水量も豊かで流れが激しくしばしば氾濫を起こしていたようです。そこからか、飛鳥川は定めなき無常の世のたとえとして詠われたようです。
この先、もう少し北方へいった小房観音寺近くの川沿いは、橿原市内でも有数の桜の名所とか。
★ 藤原宮跡
飛鳥川沿いに北方へ少し歩くと、広々とした空間が広がる。ここが「藤原宮跡」。大和三山(畝傍山、耳成山、香具山)で囲まれた三角形の中心に位置する絶好の場所。
694年都とされ、平城京へ移るまで16年間三代(持統、文武、元明)の天皇の都とされた。それまでは天皇毎に居所(宮)を転々と変えていたようです。「藤原宮」は日本で初めての都といっていい。中国の長安を手本に、東西南北が碁盤目状(条坊制)に区画され、後の平城京・平安京の原型となったのです。
その藤原京が、何故16年という短い期間で終わってしまったのか?。ズッーと疑問に思っていた。
★ 藤原京跡資料室
藤原宮跡の道路を挟んだ迎いの農協建物の二階にある。千分の一で再現した藤原宮の復元模型が見もの(無料)。なぜ16年間で藤原京は終焉したか?、香具山麓にある別の資料室でボランティアガイドさんに聞いてみました。
奈良盆地全体図を広げればよくわかるんですが、飛鳥地方は奈良盆地の南方に位置し、直ぐ南側は高取山から吉野山がそびえる。即ち南方へ行くにつれ小高くなっていく。次に藤原宮全体図を広げれば、天皇の居所である内裏や大極殿は北側に位置する(平城京・平安京でも同じ)。この位置関係が問題だったようです。南から(山側から)、下々の汚水・汚物の異臭が北方へ流れる。当時の飛鳥川流域は低湿地帯で水捌けも良くなく、また度々氾濫していた。上流(南側)から下流(北側)へ押し寄せるのです。
さすがに天皇様も、下々の悪臭には耐えられず、奈良盆地北方(平城京)へ逃げ出したというわけ。